行ったことのない土地を想うとき

地図を眺めるのが好きだった。川や鉄道などを始点から終点まで指でたどりながら頭の中で旅をするのが楽しかった。

子供の時は、家と学校までの道が、空間がその世界のすべてに等しかった。

地図で眺める世界はどんなふうに映っていたのだろうか。

今ではもう思い出せない。

Google mapというものが誕生してその少年の旅は少し変化した。

写真と共によりその世界を広げていったのだ。

行ったことのない土地、その土地の食べ物の味、空気の匂いや湿り気など空想の中で補いながら旅をするのが好きだった。

いくらでも時間を潰すことができた。

世界はとても広く、圧倒されるパワーをその土地は秘めている。

 

実際には行けなくとも、行った気分になれるような、少しばかり知らない土地のことを知れたような、そういう妄想旅行があっても良い。

これはその少年が思い描いた妄想の旅行記である。

 

まずは何処から行ってみようか、日本国内でもいいし、思い切って海外でも良い。

私たちは何処へだって行ける。

現実を見つめる目から、目を瞑って妄想を膨らませてみよう。

そうして見えた世界が、たとえ現実と少し違っても良いではないか。

だってこれは行ったことのない土地に行ってみる妄想旅行記なんだもの。